最近のパソコンに使われているCPUは100MHzとかいう周波数で動いている。だから、一秒間に100万回、何かの操作をすることができる。逆に言うと、100万回以上はできないということだ。そこで、仮定として「計算機が一秒間に100万個の文字を打ち出せる」としよう。ここでいう打ち出す、は、勿論、紙の上である必要はなく、メモリーの上で構わない。さて、このような極端な仮定のもとで「偶然にハムレットを打ってしまう確率」はいささかなりとも多くなるだろうか?答えは否である。一秒に10個 のキーが打てるサル、10^{10}匹 は宇宙の年齢の間に10^{29} 文字打つことができた。いま、計算機は100万文字、つまり、猿の10万倍の文字が打てるのでこの様な計算機10^{10}台が宇宙の年齢だけ頑張れば10^{29}文字の10万倍で10^{34}文字を打ち出すことができる。10^{29}文字の代りに10^{34]文字を用いると「宇宙の年齢の間に偶然ハムレットを打ってしまう確率」はどのくらい改善されるだろうか?答えは、10^{-164311}である。つまり、サルの場合は少数点以下164、316個のゼロが続くほど小さい数だったのが、計算機では163、311個ゼロが続く程度の「大きい」確率となったわけだ。これが、言葉のどのような意味においても「改善」を意味しないのは明らかで、以前として絶対に起きないことに変わりはない。