インタラクティブ・サイエンス・コラム

 我々は長い長い生命の進化の果てに400万年前というついこの間とも言える時間帯に誕生した。それ以来の人間の進化自体、地球との共生進化であったことが最近の研究で解ってきた。

 400万年前に人類が誕生したのはアフリカのリフトバレーと呼ばれる 高地であったと信じられている。その時の個体数はわずか15万であったが、その後の進化を通じて1万年ほど前には地球全土に広がって個体数も500万人ほどになっていたらしい。それからわずか1万年ほどの間に人類は爆発的に増えて56億人になったわけだが、その間にいったい何が起きたのだろうか?進化という観点からは人類は種としては遅くとも10万年程前には完成していたはずだ。9万年もの間、人類は寝ていたのだろうか? 最近の研究で解ってきたことは人類が爆発的にその個体数を増やした最近の1万年間は地球の気候としては 例外的に安定だったということだ。1万年より前の地球ではどうだったのか?今の気候に比べて温度の変化が激しく、ひどいときは50年で温度が7度も上昇したりしている。これはどういうことだろうか?こんなに激しく気温が変化したのでは農業に致命的な打撃があるはずだ。つまり、1万年より前には農業をするのが困難だった。逆に言えば、この1万年間の、例外的に温暖で安定した気候があって初めてこの人類の繁栄があるのであり、人類が道具を発明したり、農耕を発明しただけでは十分ではなかった可能性がある。従って、人類の繁栄自体、地球との相互作用によってもたらされたものにすぎない。いつかは、地球は「普通の状態」つまり、気候変動が激しく、農業に大打撃が絶え間なく降りかかるような気候へと戻るのである。最近のいわゆる「異常気象」はその前振りかもしれず、地球にとっては「正常気象」に戻るだけなのかもしれない。