本紙に説明があるのだからここで説明を重ねても屋上屋を重ねることになるがごく簡単に説明しておくと、要するに計算機に「生命の尊さ」みたいのをどうやって教えるかという話である。最初は仮想空間の中で計算機を生活させて「痛み」とかを教えようとするのだが、熱い鍋に触ってしまったり、ガラスで手を切って血だらけになったりしてどうしても「痛み」が理解できない。それで、 現実の世界(宇宙ステーション)に計算機をおいて生存の危機に晒して自己保存本能を目覚めさせようとする。結局、「痛み」というのは生存に反する状況を避けたいと思わせるための「警告」に過ぎないわけだから、まず、生存本能を目覚めさせないといけないというわけだ。 この、「生命の尊さの知覚」というテーマは最近のSF映画「ターミネーター2」にも取り上げられていたことは記憶に新しい。本来、殺人機械として設計されたシュワルツネッガー扮するターミネーターが、主人公のジョン母子との交流を通じて生命の尊さを認識する様になり、最後は人類の未来の安全のため、自分自身を焼却しさえするのである。現実の機械は「生命の尊さ」をいつか理解できるようになるのだろうか?