子孫を残すのは当然だが、だから、なんだというのか?と思うかも知れないが、「生物は子孫数最大という原理で行動している」という仮定の元にいろいろなことが説明できる。例えば、人間などのホニュウ類や鳥類は、成熟すると(子供を作れる体になると)成長が停止するが、これはじつは一般的なことではない。ある種の魚やハチュウ類は死ぬまで成長し続けることが知られている(ちなみに、僕が新婚旅行で訪れた別府温泉の「地獄めぐり」で訪れる温泉の中にはワニを養殖しているところがあって、そこでは年齢60歳という超老齢のワニが飼われている。その大きさたるや、まさに怪獣といってもおかしくない巨大さである。これは死ぬまで成長し続けるからこそ起きることである)。では、人間や鳥はどうして子供が生めるようになると、成長を止めるのか?驚いたことに、「本来は成長し続ける分は全て子孫の生産に使われる」という仮定でうまく説明できるのである。つまり、本当はワニの様に馬鹿でかくなるはずが、体が大きくならない分、子供の養育に費やされるというのである。生物は成長するに従って、体が大きくなるから、できるだけ大きな体になってから子供を生み始めた方が一度にたくさんの子供が生めて有利である。しかし、あまり体が大きくなるまで待っていると、死ぬまでの寿命が短くなって多数回生めなくなるし、また、年をとるに従って、死んでいくから固体数も減っていく。だから、あまり年をとってから子供を生み始めるのは良くない。この辺のバランスで子供を生むのに若過ぎず、年もとり過ぎない、という適当な年齢が成熟年齢として選ばれるのである。この他にも非常に多くのことを「子孫数最大」の原理から説明できる(参考文献:E.L.Charnov, Life History Invariants, またも英語.....)。