インタラクティブ・サイエンス・コラム 予告編,……名前はまだない 田口善弘 今回は誌面でご挨拶 次号はCD-ROMで再見  ……というわけで,突然,次号から始まることになった科学コラム。といっても, 誌面の上でお目見えするのは今回が最初で最後。本連載は付録CD-ROMでインタラクテ ィブにやっちゃおうというわけ。乞うご期待!  で,何を書くかというと,まあ科学全般(のうち,僕がわかる話)なんでもあり。 キャッチフレーズは「楽しくなければカガクじゃない!」。どっかで聞いたことがあ るって? まあ,気にしないように。  科学っていうと,わけのわからない難しい話を聞かされて眠くなったという記憶し かないかもしんないけど,科学ってのは本当はそんなに難しいわけのわからない話じ ゃないハズ。科学ってのは物の考え方,見方なんだと思うんだな。そして,この「科 学」っていうメガネを通して見ることで,日常の些細な出来事が新鮮な驚きをもって 見ることができる,そんなものなんだ。ちょうど,ワーズワースの手にかかると,何 でもない見慣れた風景が新鮮で驚きの連続に変貌するように。難しい,真面目な,肩 の凝る「科学」はそれでメシを食っているプロの皆さんに任せて(いや,実は僕もそ の端クレなんだけど),ボクらは楽しいところだけつまみ食いしちゃおうという虫の いいコラム。  で,なんでCD-ROM企画かというと,本来CD-ROMっていうのは科学解説に最適な媒体 なんだな。本というのは手軽だけど,解説を動きで見せるなんてことはできない。か といって,ビデオテープでは本みたいに「あれ,この言葉何だったっけ?」みたいな ときに前に戻るわけにはいかない。でも,CD-ROMならアニメーションや動画が入って ,用語解説も文章にボタンを埋め込んじゃえばいい。読んでるうちに混乱したり,前 の説明を忘れたりしたら,ちょっと元へ戻るのもカンタン,といいことだらけ。どう いう順番で「読んでいく」かは人それぞれ。まさに,インタラクティブというわけ。  実はもう1つインタラクティブなことがある。皆さんの意見をmacuserj@softbank.c o.jpにドンドン送ってほしい。なにせインタラクティブ・サイエンス・コラム連載な んて本誌初(ひょっとして世界初?)の試みだから,何ができるかわからない。みん なと一緒に「進化」させていこうというわけ。で,さっそく,このコラムの名前を募 集。「Mac the Knife」みたいなカッコイイ名前を考えてくれたまえ。 10年前に想像した人工知能は コマンド入力の発展形だった  そんでは,自己紹介を兼ねてひとくさり。 昔,「レイズナー」というアニメがあ ったのを覚えておられる方は読者の皆さんの中におられるだろうか?  10年くらい前にブームになった,リアルっぽいロボット戦闘アニメの1つなのだが ,ほかのアニメーション番組とはちょっと違うところがあった。主人公の乗るロボッ トに人工知能が積まれていたのである。「レイ」という名前のそのコンピュータは主 人公が何かを命ずると,「レディ」と返事し,異常があると「アラームメッセージ, ○○が××です」とか無機的な抑揚のない声で教えてくれるのである。  見ていた人は「レディって何のこと?」とか「アラームメッセージとかいちいち最 初にいわなくても,ナントカが異常ですとか素直にいえばいいじゃん」とか思った人 も多いかと思う。いま,その謎を解き明かそう。なぜそれができるかというと,あれ を考えたのはほかならぬこの僕だから。 当時,まだ大学院生だった僕は,自分の研究にコンピュータを使っていた。当時の コンピュータはやたらとでかくて,大きなホール一杯の大きさがあるくせに,速度は いまのPower Macintoshより遅かったりする。もちろん,当時はGUIなんてあるわけな いから,その計算機を使うには何かコマンドを打ち込む。すると,ウンウンとしばら くうなったあと,計算が終わるとピッという音とともに“READY”, つまり“準備が できました,次の命令をどうぞ”と表示を返してきたのである。  それがピッというかわいい音とあいまって,いかにも返事をしているっぽい様子だ ったのだ。そのくせ,間違った命令を入れようものなら,「なんたらメッセージ,× ×がおかしい」というのをとめどなく画面一杯に表示しまくるのである。「レイ」は このかわいくも愚かなコンピュータが人工知能にまで発展したらどうなるか,という 想像でつくり上げたものだったのである。  ご存じのとおり,僕の予想は見事にはずれた。“READY”などと返事するコンピュ ータは普及せず,代わりにGUIが大いに普及した。いま僕が「レイ」を設計するなら ,スクリーンにAfter Darkのスクリーンセイバーが輝き,作動中は次々とウィンドウ を開くというふうにするだろう。  さて,本編の第1回は「星はなんでも知っている」というタイトルの予定。MACBIN1 8でインタラクティブ・サイエンス・コラムを忘れずにクリックしてくれたまえ。(M acUser/Japan) 著者紹介 田口善弘 ハードSF研究所(石原藤夫主催)所員兼物理学者。自称,インタラクティブ・サイエンス・コラムニスト(って,いま勝手につくったんだけど……)。