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     インタラクティブ・サイエンス・コラム・メイル

           1997/09/27号 (不定期刊)

     本日のお題:地球上でもっとも典型的な生物とは?III

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さて、このお話もこれが最後だ。前回は我々が見た事も聞いた事もない生物が地球の代表になるかも知れないって話を次回するっていったよね?それはどういうことだろうか?実は、それは深海の生物かも知れないんだ。

 人間からみれば,太陽の光が届かない深い海の中なんて特殊な世界だし、ろくに生物が住んでない、なんて思うかも知れない。ところがどっこいそうでもない。深い海には生物がいない、なんて思っていたのは前世紀の話で、今世紀にはもう、深い海の中にはいっぱい生物がいるらしいことが解って来ていたんだ。1960年代の終りになると実は浅い海より3000Mくらいの深い海の方がたくさんの種類の生物が住んでいるって話になってきて、ここ数年は深海生物は1億種いるぞ、なんて華々しい話になりつつあるらしい。つまり、地球上の「まだ見つかっていない生物の大部分」はみんな海の底にいるかも知れないんだ。

そんなのおかしいって思うかも知れない。でも、よく考えて見よう。陸上で生物が生きられるところなんて限られている。ちょっと地下にもぐればもうダメだし、高い山の上になると殆ど生き物はいない。空には鳥が飛んでいるけど、まあ、実際には地上に巣とかが必要だから空中に生きているとは言えないだろう。

ところが、海の中なら、どこでも生きて行ける。沈まない様に浮いているいることさえできればどの深さでも留まっていられる。こうやって考えると、地球上の生物が生息可能な全空間のうち,太陽光の届かない「深い海」が占める割合は実に97パーセント以上にのぼるといわれているんだ。そういう観点からすれば,陸上や浅海,大陸棚などに生息する,僕らがよく知っている生物の方こそ地球上の生命としては例外中の例外ということになるかも知れないんだ。

海、それは僕らがまだまだ知らなかったことが一杯ある謎のフロンティア。最近、アメリカで"The Universe Below"(W. J. Broad, 1997, Simon & Schuster)、つまり、我らが下の宇宙、ってほどの意味だけど、という本が出版されてベストセラーになったらしいけど、これはこういう光の届かない深い海の話なんだ。そのうち、翻訳されるかもしれないから気を付けていてね。この本の題が言う通り、深海は宇宙に負けず劣らず神秘の世界なのかもしれない。

そうそう、一番典型的な生物、の答えを教えようか?答えはゴカイ。釣りの餌なんかに使われている口のあるミミズみたいな動物だ。地球上の動物を全部集めて来て、特徴をいろいろ平均するとそうなるらしい。しかし、ミミズみたいなもんが地球の代表選手かもしれないなんてショックだった?ゴカイだけに誤解でしょう、なんちゃって(オソマツ!)。では、また。

深海生物の写真:

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○インタラクティブ・サイエンス・コラム・メイル1997/09/27

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