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     インタラクティブ・サイエンス・コラム・メイル

           1997/11/02号 (不定期刊)

     本日のお題:We are not alone?!

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 "We are not alone."は、今から20年ほど前、最近、リニューアルプリントで再ヒットを記録した「スター・ウォーズ」の第一作とほぼ同時に公開された、今をときめくスティーブン・スティルバーグ監督のSF映画「未知との遭遇」のキャッチ・コピーだ。未知との遭遇は、地球外知的生命体、いわゆるエイリアンと人類の平和的な遭遇をテーマとしたもので、同じ異星人との 遭遇がテーマでも昨年大ヒットした「インディペンデンス・デイ」とはおよそ正反対の雰囲気のSF映画だ。
 しかし、現実問題として、悪玉・善玉以前にそもそも宇宙人と呼べる存在が存在するのかどうかさえ科学的には全く不明な状態だ。その最大の理由はそもそも、太陽系の外に「惑星」というものが存在しているかどうか何の確証も無かったからだ。我々が地球から見ることができることのできる「星」は、火星や金星の様な太陽系の惑星を除けば、全て太陽と同じ様な「恒星」である。恒星は要するに宇宙空間に浮かぶ核融合炉の様なものだから、恒星には宇宙人はおろか、地球的な意味での生命など、一切、発生しようもない。宇宙人が存在するためにはどうしても「恒星」の周りを回る「惑星」が無くてはならない。
 だが、自ら光を発する恒星ならいざしらず、その光を弱々しく反射するだけの惑星など、遠くてとても見えたものではない。宇宙空間に太陽以外に惑星をともなった恒星が無い、というのはとても信じ難いが、所詮は人間の勝手な期待に過ぎず、本当のところは何も解らなかったわけだ。
 しかし、最近の観測技術の飛躍的な発展により、太陽系から遠くはなれた恒星が惑星をもっているのかどうかを観測出来るようになってきた。勿論、惑星の輝きを直接見ることなど願うべくもないが、恒星の光が惑星の公転運動でわずかに変調する仕方を観測することにより、どんな大きさの惑星がどんな周期で恒星の周りを回っているのか解るようになってきた。この方法だと、大きな惑星の方が検出しやすく、残念ながら現在のところ木星・土星のような大きな惑星しか検出できないが、それでも宇宙にある恒星がどんな惑星を持っているのか、太陽系の様な惑星配置は典型的なものなのかどうか、が次第に明らかになりつつある。
 例えば、「科学」誌(岩波書店)の最新号で井田茂は「太陽系はユニークか?」と題して、太陽系外惑星と太陽系内の惑星の違いを述べている。現在のところ、10以上の太陽系外惑星が見つかっているが、その様相は必ずしも太陽系のそれと同じではない。例えば、太陽系においては木星・土星のような大きな惑星は地球の5から10倍ほども太陽から遠い位置にあるが、太陽系外惑星の場合には水星より近い場所に木星なみの巨大惑星があることが少なくない(うしかい座τ星など)。これは一説によると軌道が不安定化したことにより、恒星から遠く離れていた巨大惑星が「落ちて」来たせいだとも言われている。
 幸運なことにこの軌道の不安定化は太陽系では100億年は起きないらしく、出来てから50憶年かそこらしか経っていない地球の場合、あまりあるほど時間があり、人類には関係がない話のようだ。ともあれ、まだ地球型の「小さい」惑星の観測は出来ていないが、地球型の惑星が太陽系の外に発見されて「異星人存在候補惑星」がいくつも見つかる日も遠くはないだろう。異星人はそんな星に本当に住んでいるのだろうか?映画「コンタクト」が現実になる日。それはいつかやってくるだろうか。

太陽系外惑星
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○インタラクティブ・サイエンス・コラム・メイル1997/11/02

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