光と電波


 夕焼けと言うのは結構、美しい。特に、その燃えるような赤は何ものにも増して美しい。単なる偶然でこれほどの色が出来上がるとは信じがたい程だ。しかし、知っている人もいると思うけれど、これは虹の七色のうちの赤と同じものに過ぎない。本来、我々が見ている光にはいろいろな色の光が含まれているのものだ。そして、いろいろな理由でその一部だけが取り出された時、それが「色」になって我々には見える。

 色の違い、とはなんなのか?つまるところ、それは光の振動数の違いに過ぎない。音には振動数があるように、光にも振動数がある。そして高い振動数は青い色、低い振動数は赤い色になってみえる。その間の振動数は必ず何かの「色」になって見えることになる。

 我々がふだん目にする色の中でたったひとつだけ、ある特定の振動数に対応しないものがある。それは「白」だ。じゃあ、どうやれば白い光が作れるのか?全ての振動数の光を重ね合わせてやれば白い光になる。ホワイトノイズ、という言葉を聞いたことがあるかな?この「ホワイト」はここから来ている。全ての振動数が均等に混ざったノイズ=何の秩序も無いノイズ、というわけだ。

 それでは、赤い光よりも遅い振動数の「光」や青い光よりも早い振動数の「光」は何になるのだろうか?遅い方の「光」はなんと電波になる。テレビや携帯電話やポケベルの通信に使われているあれだ。早い方は?X線やγ線のような人体に害のある放射線なる。これらはみな、振動数が違うだけでみなおなじ「光」の仲間なのだ。

 僕はいつも思うのだが、なぜ、人間は同じ振動である「音」と「光」を全く違う風に認識するようになったのだろうか?僕らは音は振動数が高い音から低い音まで順番に並べることができるが、いろいろな色を順番に並べることはできない。それどころか、個々の色はまったく別のそれ自身独立した存在のように感じる。虹の七色を渡されて「順番に」並べろ、といわれても困る人が多いのではないだろうか?

 実際、虹が「七色」なのは日本だけで外国ではもっと色の数が多かったり少なかったりするようだ。虹の七色というのは赤から青までの様々な振動数の光が連続的に並んだだけのものなんだから、国によって区切りが違うのは当然だろう。さて、君には虹は何色に見えるかな?


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