板が飛ぶわけ


  君たちはもう、そんなことしないかも知れないけど、子供の頃、手ごろな大きさの 板を飛ばして遊んだことは無かったかな?そんな時はどうしただろうか?きっと、 板の端を持ち、板が高速で回転する様にして飛ばしたんじゃないかな?そうすると 板は気持ちがいいほど遠くまで飛んで行ったんじゃないだろうか?これに対して、 板に回転を与えずに飛ばせ、と言われたらなかなかうまく飛ばせないんじゃなかろ うか?これはどうしてだろうか?

実は「回転している物体は曲がりにくい」という一般的な「方則」があるんだ。回 転していない板が遠くまで飛びにくいのはすぐに板が傾いて斜めになってしまうか らだね?回転している板はこれに比べるとずっと安定していて傾かない。だから、 遠くまで気持ちよく飛んでくれる。

この「方則」は例えば、みんなが普段乗っている自転車なんかにも働いている。走 っている自転車と止まっている自転車では、走っている自転車の方がずっと倒れに くい。これは走っている自転車の方が勢いがついているからだ、と思っている人も 多いかもしれないけれど、実はそうじゃない。自転車の車輪が高速で回転している から「曲がりにくい」つまり、倒れにくい、ということになっているんだ。実際、 何かローラーのようなものの上で自転車をこいでタイヤは回転しているが自転車は その場に止まっているという状態をつくることができるが、この場合、自転車はあ たかも高速で走っているかのように倒れにくい。

最後にもう一つ。ちょっと物騒な話しだが、銃の弾丸もこの「方則」を使っている 。銃の銃身の内側には「ネジ」が切ってあり、このネジのおかげで弾丸は銃から飛 び出すときに高速の回転が与えられる。このおかげで銃から飛び出した弾丸はまっ すぐ遠くまで飛んで行くことができるんだ。

さて、ここまで読んできて野球に詳しい君なんかは「あれ?回転しているものは曲 がりにくいって言ってたけど、野球の変化球はボールに回転を与えることでボール を曲げるんじゃなかったっけ?」と思うかもしれない。これはなかなかするどい質 問だ。そのとおりなんだけど、その場合、ここで考えなかった空気の影響を考えな くてはならない。もっとも、もう、字数に余裕がないからその話しはまた今度にし よう。


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