爆発


  現実にお目にかかることもまず無いし、また、お目にかかりたくもない現象の 一つに爆発というのがある。今日は、これについて考えてみよう。

殆どの人は爆発と言ったって、特撮アクション映画やニュースなど映像の中で しか見たことが無いだろう。実際、僕もそうだ。爆発と言うと何か強烈な力が 周囲のものを粉々に吹き飛ばしてしまう、というイメージがある。この力とは なんだろうか?

ごく単純化して言ってしまうことを許すなら、爆発と言うのはつまるところ気 体が膨張する力、ということに過ぎない。ただ、この膨張の力があまりにも急 激で強烈なので何かを破壊してしまうのだ。

急激な気体の膨張を引き起こす方法はいろいろある。例えば、水を熱して蒸気 に変える、などというのはその方法の一つだ。水は蒸気になると体積が100 0倍くらいになる。しかも、熱を加えて沸騰などさせる場合には、大量の水が 一気に蒸気に変わるので、その膨張力は膨大になる。これをうまく使ったのが、 蒸気機関だが初期の蒸気機関はよく爆発していた。制御がうまくいかなくて蒸 気の膨張力が暴走して爆発してしまったのだ。

蒸気機関に限らず、爆発を起こすような力はうまく制御すれば、動力に用いる ことが出来る。例えば、車のエンジンもその典型例だ。ガソリンを気化させて 空気と混ぜて一気に燃焼させることにより、高熱を発生させ、その熱で急激な 膨張を引き起こして動力にする。これが、エンジンの仕組みであり、まさに制 御された爆発の連続で動いているに他ならない。いわば、自動車とは走る爆弾 なのである。

蒸気機関やエンジンは、時々爆発することはあっても、決して爆発させるのが 目的といわけではない。これが、破壊を目的とする爆薬となるともっと効率良 く出来ている。蒸気機関は水と言う液体が気体になるときの膨張力、エンジン は燃焼で生じる高熱による気体の膨張力をつかった「爆発」だったけど、ニト ログリセリンとかトリニトロトルエンとかいう「専門の」爆薬になると、水の 様に沸騰させなくても簡単に気体になるし、また、その時に高熱を発するので、 更に気体が膨張する。そのおかげで大きな膨張力が発生して爆発力になる。爆 発とは気体の膨張。これが今日の「方則」だ。


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